この記事の要点
- AI-OCRは、紙やPDFの書類から文字を読み取り、取引先・日付・金額などの項目ごとのデータにする仕組みです
- 読み取りには誤りが出ることがあるため、人が確かめる手順を最初から流れに組み込みます
- 読み取ったデータを会計や販売管理のシステムにつなぐと、手で入力し直す手間が減ります
請求書や注文書の読み取りを自動にするときは、AI-OCRの仕組みを知り、対象の書類と項目を決め、人が確かめる手順を組み込み、会計や販売管理のシステムにつなぐ、という順で進めます。読み取りの部分だけでなく、その前後の流れまで決めておくことが、使い続けられる仕組みにするこつです。
毎月たくさんの請求書や注文書が届き、その内容を1件ずつシステムに入力していると、月末などに作業が集中しがちです。この記事では、読み取りを自動にするときの考え方を、はじめての方にも分かるように説明します。
AI-OCRとは
AI-OCRとは、紙やPDFの書類の画像から文字を読み取り、データにする仕組みに、AIの技術を組み合わせたものです。OCR(光学文字認識)は以前からある技術ですが、AIを組み合わせることで、手書きの文字や、取引先ごとに違う書式も読み取りやすくなりました。
いまは、読み取った文字の中から「これは請求金額」「これは支払いの期日」と、項目を見分ける作業まで、AIに任せられるようになっています。
読み取りから登録までの流れ
書類を取り込み、文字を読み、項目に分け、人が確かめてから、システムに登録する、という流れです。
- 書類を取り込む(紙はスキャンし、PDFやメールの添付はそのまま取り込む)
- AIが文字を読み取る
- 取引先、日付、品名、数量、単価、金額などの項目に分ける
- 人が結果を確かめ、誤りがあれば直す
- 会計や販売管理のシステムに登録する
自動にできるのは主に2と3です。4の人の確認をなくすことを目指すのではなく、確認を楽にすることを目指すと、無理のない計画になります。
はじめる前に決めること
対象の書類、読み取る項目、書類の受け取り方の3つを先に決めます。
- 対象の書類:件数が多い、形がある程度そろっている書類から始めると、手応えを確かめやすくなります
- 読み取る項目:システムに登録するのに要る項目だけに絞ります。全部を読もうとすると、確かめる手間も増えます
- 受け取り方:紙・PDF・メールなど、受け取り方がばらばらなら、まず受け取る窓口を1つにまとめます
取引先ごとに書式が違う場合は、届く件数の多い取引先の書式から対象にし、件数の少ない書式は後から広げる、という順でも構いません。
読み取りの結果の確かめ方
試しの期間に、実際の書類で、正しく読めた割合と、確認にかかる手間を測ります。カタログの説明やデモだけでは、自社の書類でどのくらい読めるかは分かりません。
- 試し用の書類を集める:過去の書類から、いろいろな取引先・書式・手書きを含むものを選びます
- 項目ごとに確かめる:書類の全体ではなく、「金額は正しいが日付を誤りやすい」のように、項目ごとに見ます
- 計算で照らし合わせる:数量×単価が金額と合うか、合計が合うかを自動で確かめると、読み誤りに気づきやすくなります
- 登録済みの情報と照らし合わせる:取引先の名前や商品の名前を、システムに登録されている一覧(マスターデータ)と照らし合わせます
AIが自信を持てなかった項目に印をつけ、人はその部分を中心に確かめる、という形にすると、確認の手間を減らせます。
人が確かめる所を絞る
あわせて照らし合わせること
確認の手間を減らせます。照らし合わせる一覧はマスターデータと呼ばれます
会計・販売管理のシステムにつなぐ
読み取ったデータを、手で入力し直さずにシステムへ渡せるようにすると、自動にする効果が大きくなります。つなぎ方には、CSVなどのファイルで取り込む方法と、API連携で直接渡す方法があります。
会計や販売管理などの基幹システムは、会社の大事なデータを扱うため、最初は人が確かめたものだけを登録する形にします。つなぎ方の考え方は、いまの基幹システム・SaaSとAIをつなぐ方法で詳しく取り上げています。
保存の決まりとインボイス制度
請求書などの書類の保存には、電子帳簿保存法の決まりがあります。紙で受け取ってスキャンして保存する場合と、PDFなど電子で受け取った場合とで、扱いが分かれています。読み取りを自動にするときは、元の書類をどう保存するかもあわせて決めておきます。
インボイス制度の適格請求書発行事業者の登録番号は、国税庁の公表サイトで確かめられます。保存の要件や制度の細かい点は、国税庁のページで確かめ、顧問の税理士などの専門家にご相談ください。
出典:電子帳簿保存法関係(国税庁)
インボイス制度特設サイト(国税庁)
当社のご支援
当社のAI開発の例には、注文書を1件ずつ手で入力し、別の人が確認していた業務で、AIが注文書を読み取って基幹システムへつなぎ、人は確認を受け持つ形にした帳票読み取りAIを載せています。初めての書式や手書きにも対応し、数量×単価の計算の確認まで自動で行う仕組みです。業務に合わせた開発はソリューション提供、いまのシステムとのつなぎ込みはAIインテグレーションをご覧ください。まず小さく相談したい方には、月20時間から使えるAIタイムシェアもあります。中小企業でのAIの始め方は、中小企業のAI導入は、何から始めてどう広げるかもあわせてご覧ください。
- AI-OCR
- 帳票の読み取り
- 請求書
- 業務の自動化
この記事に出てくる用語
関連する法令・指針(参考情報)
- 法令
電子帳簿保存法 第4条(国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等)
一貫して電子計算機で作成した帳簿や書類は、電磁的記録で保存できます。紙の書類も、財務省令で定める装置で記録し、定められた要件に沿って保存すれば、電磁的記録の保存に代えられます(第3項。スキャナ保存と呼ばれます)。
- 法令
電子帳簿保存法 第7条(電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存)
所得税と法人税の保存義務者は、電子取引を行った場合、その取引情報の電磁的記録を、財務省令の定めに沿って保存しなければなりません。
- 法令
消費税法 第57条の2(適格請求書発行事業者の登録等)
適格請求書を交付しようとする事業者は、税務署長の登録を受けられます。登録は、登録番号などを適格請求書発行事業者登録簿に載せて行い、その事項は公表されます(第4項)。
法令は2026年10月21日時点の内容です。要旨は当社がまとめたもので、条文・判決・指針の全文ではありません。個別の事案への当てはめは、弁護士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。表記の決まりは法令・指針の参考情報と凡例をご覧ください。
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