AI AT WORK

AIによるリードスコアリング:加点方式と予測型の違い

リードスコアリングは、見込み客に点数をつけて営業の順番を決める方法です。人がルールを決める加点方式と、成約データからAIが学ぶ予測型の違い、必要なCRM・MAのデータ、運用での見直し方を説明します。

この記事の要点

  • 加点方式は人が決めたルールで点をつけ、予測型は過去の成約・失注のデータから成約しやすさをAIが学びます
  • 予測型には、成約と失注の結果がそろったCRMの記録と、MAの行動の記録が必要です
  • スコアは一度作って終わりではなく、実際の成約と突き合わせて見直し続けることで使えるものになります

リードスコアリングとは

リードスコアリングとは、見込み客(リード)一人ひとりに点数をつけ、営業が連絡する順番を決める方法です。限られた営業の時間を、成約に近い相手に振り向けるために使います。

点数のつけ方には、人がルールを決める「加点方式」と、過去のデータからAIが学ぶ「予測型」があります。営業の仕事全体でのAIの使い方は法人営業でのAIの使い方にまとめています。この記事では、見込み客の優先順位づけに絞って説明します。

加点方式:人がルールを決める

加点方式は、成約しやすい相手の条件を人が考え、行動や属性ごとに点数を決めておく方法です。

たとえば、次のようなルールを置きます。

  • 料金のページを見たら加点する
  • 資料をダウンロードしたら加点する
  • 担当者の役職が部長以上なら加点する
  • 一定の期間、サイトに来ていなければ減点する

ルールが目に見えるため、営業とマーケティングの担当者が話し合って決めやすく、データが少ない段階からでも始められます。一方で、点数の重みは担当者の経験にもとづくため、実際の成約とずれていても気づきにくく、市場や商品が変わったときに古いルールが残りがちです。

予測型:成約データからAIが学ぶ

予測型のスコアリングとは、過去の見込み客が成約したか失注したかの結果と、その見込み客の属性や行動のデータを機械学習のモデルに読み込ませ、新しい見込み客の成約しやすさを推定する方法です。

人が「この行動は何点」と決める代わりに、どの属性や行動が成約と結びついていたかを、モデルがデータから見つけます。人が思いつかなかった組み合わせが手がかりになることもあります。

観点加点方式予測型
点数の決め方人がルールと重みを決める成約・失注のデータからモデルが学ぶ
始められる時期データが少なくても始められる結果のそろった記録がある程度たまってから
理由の説明ルールそのものが理由になるどの項目が効いたかを別に示す必要がある
変化への対応人がルールを書き直す新しいデータで学び直す

予測型の点数は、過去のデータの傾向にもとづく推定です。過去に営業が力を入れなかった業種は、成約の記録が少ないため低く出る、といった偏りも起こります。点数をそのまま正解と考えず、なぜその点数なのかを営業が確かめられる形で示すことが大切です。

必要なデータ:CRMとMA

予測型を使うには、CRMに成約と失注の結果が記録され、MAに見込み客の行動が記録されていることが前提です。CRM(顧客関係管理)とは、顧客や商談の情報を管理する仕組みで、MA(マーケティングオートメーション)とは、メールの配信やサイトでの行動の記録など、見込み客への働きかけを管理する仕組みです。

予測型のスコアリングに要るデータ

CRM(顧客関係管理)

顧客や商談の情報
成約と失注の結果
予測型のスコアリング

MA(マーケティングオートメーション)

見込み客への働きかけ
見込み客の行動
予測型のスコアリング

CRMに結果が、MAに行動が記録されていることが前提です

CRMから使うデータ

  • 商談の結果(成約・失注)と、その日付
  • 会社の属性(業種、規模、所在地など)
  • 失注の理由、商談の段階

結果の記録がそろっていることが何より大切です。「成約」の定義が部署によって違う、失注した商談が記録されずに消えている、といった状態では、モデルは正しく学べません。

MAから使うデータ

  • サイトで見たページと、訪れた回数
  • メールの開封やクリック
  • 資料のダウンロード、セミナーへの申し込み

CRMとMAで同じ会社や人が別々に登録されていると、行動と結果を結びつけられません。予測型を始める前に、重複の整理と、二つの仕組みのつなぎ込みが必要になることが多くあります。

成約の記録がまだ少ない場合は、加点方式から始め、記録がたまってから予測型に移る進め方もあります。CRMやMAの製品によっては、予測型のスコアリングの機能を備えたものもあります。

個人情報の扱い

見込み客の行動の記録は個人情報にあたる場合があります。どの情報を何に使うかをプライバシーポリシーの利用目的に照らして確かめ、必要な同意を得たうえで使います。

運用での見直し

スコアは、実際の成約と突き合わせて見直し続けることで、営業が信頼して使えるものになります。

  1. 点数の高い順に、実際に商談や成約に進んだ割合を定期的に確かめる
  2. 営業に渡す点数の線を、営業とマーケティングで話し合って決め直す
  3. 商品や価格、狙う業種が変わったときは、ルールを書き直すか、モデルを学び直す
  4. 点数が高いのに進まなかった相手、低いのに成約した相手を営業から集め、手がかりにする

点数は、連絡の順番を決めるための材料です。相手の事情を聞き、提案の中身を考えるのは営業の仕事であり、最後の判断は人が持つ形にしておくと、現場で受け入れられやすくなります。

広告から入ってきた見込み客の質を広告の運用に戻す考え方は、Web広告の運用にAIを使うで取り上げています。

当社のご支援

当社は、CRMとMAのデータを整え、スコアリングのモデルを作り、営業の画面で使える形につなぐところまで担います。いまのシステムへのつなぎ込みはAIインテグレーション、モデルの開発はソリューション提供をご覧ください。需要予測などの開発の例はAI開発の例にまとめています。どこから手をつけるかの整理は、AIタイムシェアでもご相談いただけます。

  • リードスコアリング
  • CRM
  • MA
  • 営業

この記事に出てくる用語

この記事を書いた人

桐谷 彰人 取締役COO

システムエンジニアとして、ビジネスモデルの策定から要件定義、開発、コードレビューまでを担当してきました。運送管理、飲食業向けのDX、ECサイトなど、さまざまな業界のシステム開発に携わっています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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