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中小企業のAI導入は、何から始めてどう広げるか

中小企業がAIを使い始めるときは、既製のサービスで始められる業務と、業務に合わせた開発やいまのシステムへのつなぎ込みが要る業務を分け、小さく始めて広げるのが進めやすい形です。その分け方と順番を説明します。

この記事の要点

  • 人手の不足や仕事の属人化を抱える中小企業では、AIで手が空く効果を感じやすい
  • 既製のサービスで始められる部分と、開発やつなぎ込みが要る部分を分けて考える
  • 1つの業務で試し、効果と課題を確かめてから、開発やほかの業務へ広げる

中小企業がAIを使い始めるときは、まず既製のサービスで試せる業務から手をつけ、効果が見えたところで、業務に合わせた開発やいまのシステムへのつなぎ込みに進むのが進めやすい順番です。大きな投資を最初に決める必要はありませんが、既製のサービスだけで済むとも限りません。

AIは大企業だけのもの、と感じている方もいるかもしれません。実際には、月ごとの契約で使えるサービスが増え、人手の限られた会社ほど、手が空く効果を感じやすくなっています。どこまでを既製のサービスに任せ、どこから開発が要るのかを分けて考えると、無理のない計画を立てられます。

中小企業でAIが役に立つのはどんな場面か

人手が足りない、仕事が特定の人に偏っている、データはあるのに使えていない、という3つの場面です。

人手の不足を補う

問い合わせメールの一次返信の下書き、会議の記録の要約、紙の書類の入力など、毎日くり返す作業は、AIに下書きや整理を任せやすい仕事です。人は確認と判断に時間を使えるようになります。

仕事の属人化をやわらげる

属人化とは、仕事のやり方が特定の人の頭の中にしかなく、その人がいないと回らない状態のことです。手順やよくある質問を文書にし、AIで検索・回答できるようにすると、ほかの人も対応しやすくなります。社内の問い合わせをチャットボットで受ける方法は、社内の問い合わせ対応をチャットボットにで詳しく説明しています。

手元のデータを判断に使う

売上や受注の記録、顧客の情報は、多くの会社にすでにあります。AIを使うと、傾向をまとめたり、次の月の見込みを出したりする作業の手間が減ります。ただし、出てきた数字をどう使うかを決めるのは人です。

既製のサービスで始められる部分

文章の作成・要約・翻訳・アイデア出しのように、いまの業務の流れを変えずに、人がAIに頼む作業は、既製のサービスで始められます。

既製のサービスとは、契約すればすぐに使えるクラウドのサービスのことです。ChatGPT、Gemini、Microsoft 365 Copilot などの生成AIのサービスや、すでに使っている会計・顧客管理・グループウェアに加わったAIの機能が当たります。

  • メールや案内文の下書き
  • 会議の記録の要約
  • 日報や報告書の整理
  • 企画のアイデア出し、文章の校正

始めるときは、社外に出してよい情報とそうでない情報を決め、法人向けの契約で、入力したデータの扱い(学習に使われるかどうか、保存の期間)を確かめておきます。

業務に合わせた開発やつなぎ込みが要る部分

AIの結果を自社のデータやシステムに渡して、業務の流れそのものを変えたい場合は、業務に合わせた開発や、いまのシステムへのつなぎ込みが要ります。

たとえば、次のような使い方です。

  • 取引先ごとに形の違う注文書や請求書を読み取り、販売管理のシステムに登録する
  • 社内の規程や過去の対応の記録をもとに、社員の質問に答える
  • 過去の受注の記録から需要を予測し、仕入れや人の配置の計画に使う
  • 配送の条件をふまえて、配車の計画の案を作る

既製のサービスでも一部はできますが、自社の書式、いまのシステムの項目、例外の扱い、人が確認する手順まで合わせないと、現場で使い続けられる形になりにくいのが実情です。読み取った内容をだれが確かめ、どこに登録するのかを決め、仕組みに組み込む作業が要ります。

読み取りから登録までを、業務に合わせて組み込む

注文書・請求書取引先ごとに形が違う
読み取る
販売管理のシステムに登録する

合わせる必要があること

  • 自社の書式
  • いまのシステムの項目
  • 例外の扱い
  • 人が確認する手順

読み取った内容をだれが確かめ、どこに登録するのかを決め、仕組みに組み込む作業が要ります

分け方既製のサービスで始める開発・つなぎ込みが要る
向いている仕事文章の作成・要約など、人がAIに頼む作業帳票の読み取り、予測、社内データを使う回答など
いまのシステム変えずに使うAIとつなぎ、データを受け渡す
最初に決めること使う範囲と、入力してよい情報対象の業務と、うまくいったと判断する目安

小さく始めて広げる進め方

1つの業務を選んで試し、効果と課題を確かめてから、開発やほかの業務へ広げます。

  1. 困っている業務を1つ選ぶ。毎日くり返す、時間がかかっている、ミスが起きやすい、のどれかに当てはまるものが候補です
  2. うまくいったと判断する目安を決める。作業の時間、確認の手間、返信の早さなど、試す前と後で比べられるものにします
  3. 既製のサービスで試す。決めた期間、実際の業務で使い、うまくいく点と足りない点を書き出します
  4. 足りない点を見て、開発やつなぎ込みに進むかを決める。いまのシステムとの連携や自社の書式への対応が要るなら、その部分から開発します
  5. 運用しながら直し、ほかの業務へ広げる

最初から全社で大きく導入しようとすると、費用がかさみ、現場の負担も大きくなります。小さな範囲で手応えを確かめてから広げるほうが、投資の判断もしやすくなります。うまくいく会社に共通する考え方は、AI導入がうまくいく会社に共通する4つの進め方で取り上げています。

社内に詳しい人がいないときは

社内に専門の担当者を置くのが難しい場合は、外部の専門家に時間単位で相談し、試す段階から伴走してもらう方法があります。

どの業務から始めるか、既製のサービスで足りるか、開発に進むか、の判断は、AIとシステムの両方を知らないと迷いやすいところです。必要な時間だけ専門家の手を借り、判断の材料をそろえてから投資を決めると、無駄が少なくなります。

当社のご支援

当社のAIタイムシェアは、月20時間からの時間契約で、AIの専門家に相談や作業を頼めるサービスです。どの業務から始めるかの整理や、既製のサービスでの試行の支えから始められます。開発やいまのシステムへのつなぎ込みが要る段階では、ソリューション提供とAIインテグレーションでお手伝いします。具体的な例はAI開発の例をご覧ください。

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  • 生成AI
  • 小さく始める

この記事に出てくる用語

この記事を書いた人

桐谷 彰人 取締役COO

システムエンジニアとして、ビジネスモデルの策定から要件定義、開発、コードレビューまでを担当してきました。運送管理、飲食業向けのDX、ECサイトなど、さまざまな業界のシステム開発に携わっています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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