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日本発のLLMをどう選ぶか:主な取り組みと比べる観点

日本発の大規模言語モデル(LLM)の主な取り組みを、2026年10月時点の公式発表をもとに紹介し、企業が選ぶときの観点を、日本語の扱い・データの置き場所・オンプレミス・費用・サポートの5つで整理します。

この記事の要点

  • 日本発のLLMには、ゼロから開発したものと、海外のモデルをもとに日本語向けに調整したものがあります。
  • 社内で動かせるか、データをどこで処理するかは、製品と提供の形ごとに違います。
  • 評価の数字は各社の発表によるものが多いため、自社の業務の問題で試して比べます。

日本発のLLMとは

日本発のLLMとは、日本の企業や研究機関が開発・提供する大規模言語モデルです。日本語の文章を多く学習させ、日本の業務の文書や言い回しに合わせて作られているものが多くあります。

作り方は大きく2つに分かれます。1つは、学習の最初から自社で行う「フルスクラッチ」の開発です。もう1つは、海外で公開されたモデルや提携先のモデルをもとに、日本語や業務の知識を追加で学習させる方法です。どちらが優れているというものではなく、データの扱い、提供の形、費用の考え方に違いが出ます。

日本発のLLMの、2つの作り方

  • フルスクラッチ学習の最初から自社で行う
  • 既存のモデルをもとにする海外で公開されたモデルや提携先のモデルに、日本語や業務の知識を追加で学習させる

どちらが優れているというものではなく、データの扱い、提供の形、費用の考え方に違いが出ます

主な取り組み(2026年10月時点)

2026年10月時点で公式に発表されている主な取り組みを、発表の内容に沿って紹介します。性能についての記述は各社の発表によるもので、ここでは比べません。

NTT「tsuzumi 2」

NTTは、2025年10月20日に「tsuzumi 2」の提供を始めました。NTTがフルスクラッチで開発したモデルで、1つのGPUで動く軽さと、オンプレミスやプライベートクラウドで運用できることを特徴としています。

出典:更なる進化を遂げたNTT版LLM tsuzumi 2の提供開始(NTT、2025年10月20日)

ソフトバンク・SB Intuitions「Sarashina」

ソフトバンクの子会社の SB Intuitions は、国産のLLM「Sarashina」を開発しています。法人向けには、2025年11月から、軽量のモデルをAPIで使える「Sarashina API」が提供されています。

2026年10月13日には、6つのモデルを試せる無償のベータ版を始めました。無償のベータ版では、利用のデータがモデルとサービスの改善に使われることがあるとされており、業務の情報を入れる前に利用条件を確かめる必要があります。

出典:国産LLM「Sarashina mini」のAPI接続サービス「Sarashina API」を法人向けに提供開始(ソフトバンク、2025年11月5日)
国産生成AI「Sarashina」を利用できる「Sarashinaサービス」の無償ベータ版を提供開始(SB Intuitions、2026年10月13日)

富士通「Takane」

富士通は、カナダの Cohere と共同で、日本語に強い企業向けのLLM「Takane」を開発し、提供しています。プライベートクラウドなど、公共のクラウドを使いにくい業務での利用を想定しています。2025年4月には、Nutanix の基盤の上で、社内に置いて動かす形でも使えるようになりました。

出典:Fujitsu and Cohere launch strategic partnership and joint development to provide generative AI for enterprises(富士通、2024年7月16日)
Fujitsu's Japanese language enhanced LLM Takane offering now available on Nutanix Enterprise AI solution(富士通、2025年4月16日)

NEC「cotomi」

NECは、自社で開発したLLM「cotomi」を提供しています。cotomi を組み込んだサーバー(アプライアンスサーバ)も用意しており、社内(オンプレミス)で動かして、機密性の高い情報を扱う使い方を想定しています。

出典:NEC Generative AI Appliance Server(NEC)

Sakana AI「Sakana Namazu」

東京の Sakana AI は、2026年8月3日に、日本語に特化したLLMのAPI「Sakana Namazu」の提供を始めました。Moonshot AI が公開しているオープンモデルをもとに、日本語と日本の業務の文脈に合わせて調整したもので、OpenAI のAPIと互換の形で使えます。

出典:Sakana AI、日本語特化のLLM API「Sakana Namazu」を提供開始(Sakana AI、2026年8月3日)

国立情報学研究所「LLM-jp」

国立情報学研究所(NII)の大規模言語モデル研究開発センターは、産学官が参加する LLM-jp の活動の中で、透明性の高いオープンなモデルを開発し、公開しています。2026年4月から「LLM-jp-4」のシリーズを順に公開し、9月には「LLM-jp-4.1」のシリーズを公開しました。

出典:大規模言語モデル研究開発センター(国立情報学研究所)

国の支援「GENIAC」

経済産業省と NEDO は、2024年2月から、生成AIの開発力を高めるためのプロジェクト「GENIAC」を進めています。基盤モデルの開発に要る計算資源の利用料の補助や、データの活用の実証などを行うもので、2026年にも新たな採択が発表されています。

出典:GENIAC の採択の発表(NEDO・経済産業省、2024年10月10日)
GENIAC 第4期の採択の発表(経済産業省、2026年6月)

選ぶときの5つの観点

選ぶときは、日本語の扱い、データの置き場所、オンプレミスで動かせるか、費用、サポートの5つで比べると整理しやすくなります。

観点確かめること
日本語の扱い自社の文書(敬語、業界の用語、表を含む書類)で答えの質を試す
データの置き場所どこの事業者の、どこのサーバーで処理されるか。入力が学習に使われるか
オンプレミス社内のサーバーで動かせるか。要る機械の性能はどの程度か
費用従量の料金か、ライセンスと機械の費用か。運用の手間を含めた総額
サポート日本語での問い合わせ、障害時の対応、モデルの更新の予定

日本語の扱い

日本語の性能は、各社が公表する評価の数字だけで判断せず、自社の業務の問題で試して比べます。社内の規程の要約、顧客への返信の下書き、表の多い書類の読み取りなど、実際に使う作業を数種類選び、同じ問題で候補を比べると差が見えます。

データの置き場所

同じ「国産」でも、APIで使う場合と社内で動かす場合で、データの扱いは変わります。APIで使う場合は、処理する事業者と場所、入力の保存の期間、学習への利用の有無を、利用規約と契約で確かめます。無償の試用版と有償の法人向けの版で、条件が違うこともあります。

オンプレミスで動かせるか

tsuzumi 2 や cotomi のように、社内で動かす形を用意しているモデルもあります。社内で動かす場合は、機械の調達と、更新や監視の体制も含めて考えます。社内で動かすときの注意はローカルLLMとはにまとめています。

費用

費用は、APIの従量の料金か、ライセンスと機械の費用かで、かかり方が変わります。使う量の見込みを立て、運用の手間も含めた総額で比べます。

サポート

日本語での問い合わせのしやすさ、障害が起きたときの対応、モデルの更新や提供の終了の予定を確かめます。業務に組み込むほど、提供する会社の体制が大切になります。

海外のモデルと組み合わせる

選び方は、国産か海外かの二択ではありません。機密の文書は社内で動かすモデルで、一般的な調べものや文章の作成は海外の大きなモデルで、と業務ごとに使い分ける形もあります。用途を絞った小さなモデルの使いどころは小さな言語モデル(SLM)とはをご覧ください。

モデルは次々に新しい版が出るため、特定のモデルに合わせ込みすぎず、入れ替えて比べられる作りにしておくと、後の見直しが楽になります。

当社のご支援

アメリア・テクノロジーは、扱うデータと業務を伺い、どのモデルを、どこで動かすかの検討から、試用と比較、いまのシステムへのつなぎ込みまでお手伝いします。選び方の整理はAI・DXコンサルティング、つなぎ込みと運用はAIインテグレーションをご覧ください。

  • 国産LLM
  • 生成AI
  • オンプレミス
  • GENIAC

この記事に出てくる用語

この記事を書いた部署

アメリア・テクノロジー 編集部

アメリア・テクノロジーの技術者・コンサルタントが、法律・制度・研究・最新の動向などのテーマについて、公的機関の資料や企業の公式発表などの一次情報を確かめて執筆・編集しています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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