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建築設計でのAI:日照・風通しの検討と生成的なデザイン

建築設計では、日照や風通しのシミュレーションを速く回し、多くの案を比べるために、AIや計算の技術が使われ始めています。生成的なデザインの考え方と、2026年10月時点で確かめた主なツール、設計者の役割を説明します。

この記事の要点

  • 生成的なデザインは、人が目的と条件を決め、計算で多くの案を作って比べる手法
  • 日照・風通しの検討では、シミュレーションと機械学習による速い予測の使い分けが見られる
  • 案を選び、空間の質や暮らし方を考えて決めるのは設計者の役割

建築設計では、日照や風通しなどの環境のシミュレーションを速く回し、多くの案を比べるために、AIや計算の技術が使われ始めています。AIが設計者の代わりに建物を決めるのではなく、設計者が条件を決め、計算で出た案を比べて選ぶ、という使い方が中心です。

建築は、見た目の美しさと同時に、構造、法規、光や風、熱といった多くの条件を満たす必要があります。条件どうしがぶつかることも多く、これまでは設計者の経験に頼る部分が大きい領域でした。

生成的なデザインとは

生成的なデザイン(ジェネレーティブデザイン)とは、人が目的と制約の条件を決め、コンピューターがその条件の中で多くの案を作り、評価して並べる設計の手法です。

  1. 人が条件を決める:「居間に冬の日差しを長く入れたい」「夏に外の風を室内に通したい」「建ぺい率・容積率の範囲に収める」など、目標と守るべき決まりを設定する
  2. 計算で案を作る:建物の形、窓の位置や大きさ、配置などを変えながら多くの案を作り、それぞれをシミュレーションで評価する
  3. 人が選ぶ:評価の結果を比べ、使い勝手や美しさ、費用もふまえて案を選び、磨いていく

生成的なデザインには、機械学習を使わない計算の手法も多く含まれます。案を作るプログラムと、評価のためのシミュレーションの組み合わせが基本で、評価を速くするところなどに機械学習が使われ始めています。

日照と風通しの検討

日照は太陽の動きをもとにした計算で、風通しは数値流体力学(CFD)のシミュレーションで検討します。AIは、その結果を速く予測する役割で使われ始めています。

日照

敷地の緯度・経度と、季節・時刻から太陽の位置を計算し、建物や周りの建物の影、窓や壁に当たる日射の量を求めます。冬は部屋の奥まで日が入り、夏は軒や庇で直射日光を遮る、という両立を、形を変えながら確かめられます。

風通し

数値流体力学(CFD)とは、空気や水の流れをコンピューターで計算して予測する技術です。敷地の周りの風が建物にどう当たり、どの窓から入ってどこへ抜けるかを計算し、窓の配置や間取りを検討します。CFDは計算に時間がかかるため、設計の初めの段階で何度も回すのは負担になりがちでした。

機械学習による速い予測

CFDの負担を減らすために、詳しい解析の結果などを学習した機械学習のモデルで、結果を素早く予測する方法が使われ始めています。速い予測で案を絞り、詳しいシミュレーションで確かめる、という使い分けです。速い予測は方向をつかむためのもので、確認の代わりにはなりません。

速い予測と詳しいシミュレーションの使い分け

機械学習による速い予測結果を素早く予測し、案を絞ります
詳しいシミュレーション絞った案を確かめます

速い予測は方向をつかむためのもので、確認の代わりにはなりません

2026年10月時点で確かめた主なツール

設計の初期の配置や環境の検討、パラメトリックな設計、BIMの中での案の探索、のそれぞれにツールがあります。BIMとは、建物の形と、部材や仕様などの情報をまとめて扱う3次元のモデルと、その使い方のことです。

ツール主な使い方
Autodesk Forma Site Design敷地の初期の計画で、日照や風などを検討する。風の検討には、機械学習による速い予測(rapid wind)と、CFDによる詳しい解析がある
Ladybug ToolsRhino の Grasshopper で使える、無料・オープンソースの環境解析のツール群。気候の分析、日射、採光、エネルギーの計算などに使う
Autodesk Revit の Generative DesignBIMのソフトの Revit の中で、目標と条件を決めて多くの案を作り、比べる機能(Revit LT では使えない)

出典:Designing with Wind(Autodesk Forma ブログ、2026年7月)、Ladybug Tools、Generative Design(Revit 2026 ヘルプ)

ツールの名前や機能は更新で変わることがあります。使うときは、各社や開発元の最新の案内を確かめてください。

設計者の役割はどう変わるか

手で一つひとつ案を描いて確かめる時間が減り、条件の決め方と案の選び方、空間の質を考える仕事の比重が大きくなります。

  • 何を目標にするか、どの条件を優先するかを決める
  • 計算の前提(気象データ、周りの建物、部屋の使い方)が妥当かを確かめる
  • 数値に表れない居心地や、街並みとの関係、使う人の暮らし方を考えて案を選ぶ

シミュレーションの結果は、置いた前提によって変わります。法規や構造の確認を含め、最後に判断するのは設計者と専門家です。AIで計算の手間が減るぶん、その空間で人がどう過ごすかを考える時間を増やせます。ほかの分野でのAIの動きは分野別のAIの活用の動きにまとめています。

当社のご支援

建築に限らず、シミュレーションや予測を業務に取り入れるときは、どの判断を速くしたいのかを先に決めることが出発点になります。当社のAI・DXコンサルティングでは、経営と業務の目標から、何にAIを使うかと進める順番を一緒に決めます。社内のデータやいまのシステムにつなぐ開発は、ソリューション提供とAIインテグレーションでお手伝いします。

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アメリア・テクノロジー 編集部

アメリア・テクノロジーの技術者・コンサルタントが、法律・制度・研究・最新の動向などのテーマについて、公的機関の資料や企業の公式発表などの一次情報を確かめて執筆・編集しています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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