TRENDS

AIエージェントの業務での使われ方:2025〜2026年の動き

2025〜2026年に主要な提供企業が発表したAIエージェントの製品・機能と、国内の保険・銀行の公式発表に見る使われ方を、出典とあわせて紹介します。作る道具、業務の入口、管理の仕組み、つなぎ方の標準の4つの流れで整理します。

この記事の要点

  • 提供企業の発表は、作る道具、業務の入口への組み込み、管理の仕組み、つなぎ方の標準の4つの流れに分けられます。
  • 国内の発表では、社員の日々の業務の支援と、お客さまや代理店からの問い合わせへの対応での使い方が見られます。
  • どの発表でも、任せる範囲を区切り、人に引き継ぐ場面と管理の仕組みを決めています。

2025年から2026年にかけて、AIエージェントは試す段階から、業務の決まった範囲で使う段階へ進みつつあります。提供企業は、作る道具に加えて、多くのエージェントを管理する仕組みや、ほかのツールとつなぐ共通の取り決めを相次いで発表しました。国内でも、社員の業務の支援や問い合わせへの対応に使う発表が出ています。

AIエージェントとは、目的を受けて手順を考え、ツールやほかのシステムを操作しながら作業を進めるAIです。仕組みと使うときの注意は、AIエージェントとは?業務での使いどころと注意点で説明しています。ここでは、各社の公式の発表から動きを追います。

提供企業の発表に見る4つの流れ

提供企業の発表は、作る道具、業務の入口への組み込み、管理の仕組み、つなぎ方の標準の4つに分けると整理しやすくなります。特定の製品を勧めるものではなく、発表の内容を紹介します。

作る道具:OpenAI「AgentKit」

OpenAI は2025年10月6日、AIエージェントを作って動かすための道具をまとめた「AgentKit」を発表しました。処理の流れを画面上で組み立てる Agent Builder、データの接続先を管理する Connector Registry、製品にエージェントの対話画面を組み込む ChatKit、答えの質を評価する機能などで構成されています。

出典:Introducing AgentKit(OpenAI、2025年10月6日)

業務の入口への組み込み:Google Cloud「Gemini Enterprise」

Google Cloud は2025年10月9日、企業向けのAIの基盤「Gemini Enterprise」を発表しました。ノーコードでエージェントを組み立てる仕組み、調べものなどを行う既製のエージェント、Google Workspace や Microsoft 365、業務アプリのデータへの接続、すべてのエージェントをまとめて見て守る管理の仕組みを、1つの入口にまとめたものです。2026年10月9日には、業務用の汎用のエージェント「Gemini エージェント」も発表しています。

出典:Gemini Enterprise を発表(Google Cloud、2025年10月9日)
Gemini at Work 2026 で Gemini エージェントを発表(Google Cloud、2026年10月9日)

管理の仕組み:Microsoft「Agent 365」

Microsoft は2025年11月18日、社内で使うAIエージェントを管理する仕組み「Microsoft Agent 365」を発表しました。エージェントの一覧(登録簿)、エージェントごとの識別と権限の制御、つながりや動きの見える化、ほかのアプリとの連携、セキュリティの5つの機能を挙げています。発表の記事には、その後、一般提供が始まったことが追記されています。

出典:Microsoft Agent 365: The control plane for AI agents(Microsoft、2025年11月18日)

つなぎ方の標準:Agentic AI Foundation

Linux Foundation は2025年12月9日、AIエージェントのためのオープンな取り組みを進める「Agentic AI Foundation(AAIF)」の設立を発表しました。Anthropic が公開したMCP、Block の goose、OpenAI の AGENTS.md が、最初の取り組みとして持ち寄られています。

出典:Linux Foundation Announces the Formation of the Agentic AI Foundation(Linux Foundation、2025年12月9日)

国内企業の発表に見る使われ方

国内では、社員の日々の業務を支える使い方と、問い合わせへの対応に使う使い方の発表が見られます。

社員の業務の支援:SOMPOホールディングス

SOMPOホールディングスは2025年12月26日、国内のグループ会社の社員約3万人を対象に、AIエージェントのツール「SOMPO AIエージェント」を2026年1月から導入すると発表しました。社内文書の検索・要約、調べもの、議事録の作成の支援、データ分析の補助に加え、保険を中心とした事業の知見や業務の流れに合わせたエージェントとして使うことを想定しています。実証の第一弾では、Google Cloud の Gemini Enterprise を主なツールとして採用するとしています。

出典:国内グループ会社社員約30,000人を対象にAIエージェント導入開始(SOMPOホールディングス、2025年12月26日)

コンタクトセンター:東京海上日動火災保険

PKSHA Technology は2026年3月4日、伊藤忠テクノソリューションズと連携し、東京海上日動火災保険のコンタクトセンターの主な業務にAIを導入し、3月から運用を始めると発表しました。応対の前は音声のAIエージェントが用件の把握と本人の確認を行ってオペレーターに引き継ぎ、応対の最中は通話を文字にして回答の案を示し、応対の後は要約と記録の作成を支えます。年間200万件を上回る入電に対し、お客さま向けで最大約30%、代理店向けで最大約10%の応対時間の削減を見込むと発表しています。

出典:PKSHA、CTCと連携し、東京海上日動のコンタクトセンターの主要業務プロセスにAIを導入、本年3月より運用開始(PKSHA Technology、2026年3月4日)

コンタクトセンターの応対でのAIの役割(東京海上日動火災保険)

応対の前音声のAIエージェントが用件の把握と本人の確認を行い、オペレーターに引き継ぎます
応対の最中通話を文字にして、回答の案を示します
応対の後要約と記録の作成を支えます

PKSHA Technology の2026年3月4日の発表の内容です

お客さまの照会への対応:三井住友銀行

三井住友銀行、日本総合研究所、日本IBMは2026年2月18日、生成AIを使った顧客対応のサービス「SMBC AIオペレーター」を2月25日から提供すると発表しました。第一弾は個人向けの「Olive」の問い合わせが対象で、AIが参照データを検索して答えを作り、毎日24時間、自由な会話で応じます。本人の確認が要る手続きは、これまでどおり有人のコールセンターで受けるとしています。

出典:生成AIを活用した新たな顧客対応サービス「SMBC AIオペレーター」の提供開始について(三井住友銀行・日本総合研究所・日本IBM、2026年2月18日)

発表から見える共通点

提供企業と国内企業の発表には、任せる範囲を区切り、人に引き継ぐ場面と管理の仕組みを決めるという共通点があります。

観点発表に見られる形
任せる範囲本人の確認が要らない照会に限る、応対の前後の作業を支える
人への引き継ぎ用件を把握してオペレーターに渡す、手続きは有人で受ける
管理エージェントの一覧、権限の制御、動きの記録をまとめて持つ
つなぎ方共通の取り決めで社内のデータやツールとつなぐ

エージェントの数が増えるほど、どのエージェントが、どの権限で、何をしたかを管理する仕組みが要ります。社内の決まりと体制の整え方は、AIガバナンスの用語集も参考になります。

自社で検討するときの順番

自社で検討するときは、次の順番で考えると、発表に見られる進め方に沿って進められます。

  1. 手順がおおむね決まっていて、量の多い作業を1つ選ぶ
  2. AIに任せる範囲と、人に引き継ぐ条件を決める
  3. 使わせるデータとツール、権限を最小限に絞る
  4. 動きの記録を残し、試行の結果を見て範囲を広げる

外部の文章を読むエージェントには、指示を紛れ込ませる攻撃への備えも要ります。対策は生成AIのセキュリティをご覧ください。

当社のご支援

アメリア・テクノロジーは、どの作業をAIエージェントに任せるかの整理から、権限と確認の手順の設計、開発、いまのシステムとのつなぎ込みと運用までお手伝いします。開発はソリューション提供、つなぎ込みと運用はAIインテグレーション、現場に入って一緒に進める形は現場に入るFDEをご覧ください。

  • AIエージェント
  • 生成AI
  • AIガバナンス
  • 活用の動向

この記事に出てくる用語

この記事を書いた部署

アメリア・テクノロジー 編集部

アメリア・テクノロジーの技術者・コンサルタントが、法律・制度・研究・最新の動向などのテーマについて、公的機関の資料や企業の公式発表などの一次情報を確かめて執筆・編集しています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

あわせて読みたい

AI・ITの動向のコラムを見る コラムの一覧に戻る