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国内の生成AI活用の動き:2026年の公式発表から

2026年に国内の官公庁・自治体・企業が公式に発表した生成AIの業務での活用を、行政・金融・医療・製造の分野から5件紹介し、発表に共通する進め方と、自社で始めるときの観点を整理します。

この記事の要点

  • 2026年の発表では、社内の文書や記録をもとに答えや下書きを作る使い方が多く見られます。
  • AIの出力を人が確かめてから使う流れを、仕組みとして組み込んでいる発表が目立ちます。
  • 共通の基盤を整え、部署や病院、自治体の間で使い回す形も広がっています。

2026年に国内で公式に発表された生成AIの活用を見ると、社内の文書や記録を根拠に答えや下書きを作り、人が確かめてから使う形が中心になっています。行政では職員全体が使う共通の基盤を、企業や病院では特定の業務に絞ったアプリを整える動きが見られます。

ここでは、官公庁・自治体・企業が自ら公表した発表を、分野を分けて5件紹介します。内容と数字は、各発表に書かれているものだけを取り上げます。生成AIそのものの説明は、生成AIの用語集をご覧ください。

行政:デジタル庁「源内」の大規模実証

デジタル庁は2026年3月6日、生成AIの利用環境「源内(げんない)」を、全府省庁の約18万人の政府職員を対象に試験的に導入する大規模実証を始めると発表しました。発表では、実証の結果を踏まえて、2027年度に本格利用を始める予定としています。

国の行政機関が、府省庁をまたいで同じ利用環境を使う取り組みです。AIアプリの開発の強化や、AIエージェントの導入も今後の施策として挙げられています。

出典:全府省庁の約18万人の政府職員を対象としたガバメントAI(源内)の大規模実証を開始します(デジタル庁、2026年3月6日)

自治体:東京都「A1(えいいち)」の本格運用

東京都は2026年4月9日、都職員約6万人を対象に、生成AIの共通基盤「A1(えいいち)」の本格運用を始めたと発表しました。2025年9月から試行していた基盤に、運用のルールなどを整えたものです。

発表によると、職員が業務の課題に合わせたAIアプリをノーコードで作り、組織の中で共有できます。アプリの例として、契約の仕様書の案づくりの支援、AIを導入・活用するときの確認点の案内、都議会の議事録などをもとにした答弁の検討の支援が挙げられています。

出典:都職員約6万人が生成AI「A1(えいいち)」を利活用開始(東京都、2026年4月9日)

金融:百五銀行の業務マニュアルの検索

百五銀行は2026年4月1日、事務の取り扱いに関する行内の業務マニュアルを、生成AIで検索できる機能の運用を始めたと発表しました。対象はグループ会社を含む全従業員です。

行員が確かめたいことを文章で入力すると、マニュアルの内容をもとにした要約が参考として表示され、根拠となったマニュアルの記載箇所へのリンクも同時に示されます。同行は、本支店の間の問い合わせを減らすことで、年間15,000時間の業務量の削減を見込むと発表しています。

出典:生成AIを活用した行内向け業務マニュアル検索機能の運用開始について(百五銀行、2026年4月1日)

業務マニュアルの検索の仕組み(百五銀行の発表)

行員確かめたいことを文章で入力
生成AIで検索
マニュアルの内容をもとにした要約参考として表示

同時に示されるもの

  • 根拠の記載箇所へのリンク

医療:関西医科大学のサマリー作成の支援

関西医科大学と日本IBMは2026年7月8日、大学の3つの病院で共通に使える「医療AI共通ICTプラットフォーム」を共同で開発したと発表しました。第1弾として、医師・看護師向けに、看護サマリー・退院サマリー・外来サマリーの作成を支援するアプリの運用を始めています。

電子カルテの情報を生成AIが取り込み、サマリーの作成を支えます。発表では、AIが作った文章はそのまま診療記録になるのではなく、医療従事者の最終判断を経て正確さを保つとしています。看護サマリーでは、30分程度かかっていた作業が5分で終わるとされています。

出典:関西医科大学と日本IBM、「医療AI共通ICTプラットフォーム」を共同開発(日本IBM、2026年7月8日)

製造:日東工業の図面からの見積もり情報の抽出

日東工業と日本IBMは2026年10月20日、建物の設備図面から分電盤の見積もりに要る回路・機器の情報や特記事項を取り出す生成AIのアプリを開発したと発表しました。全国23の営業拠点の約50名の営業担当者が使い、2026年10月から段階的に実際の業務での運用を始めるとしています。

AIが図面から情報を取り出し、営業担当者が業務の知識にもとづいて確かめ、直します。直した内容を含む結果はデータとして蓄え、特定の担当者に頼りがちだった見積もりのノウハウを組織で生かし、引き継ぐことを狙っています。

出典:日東工業、日本IBMの支援のもと設備図面から分電盤見積情報を抽出する生成AIアプリを開発(日本IBM、2026年10月20日)

図面からの見積もり情報の抽出の流れ(日東工業と日本IBMの発表)

  • AIが取り出す設備図面から、回路・機器の情報や特記事項を取り出します
  • 担当者が直す営業担当者が業務の知識にもとづいて確かめ、直します
  • 蓄える直した内容を含む結果を、データとして蓄えます
  • 組織で生かす見積もりのノウハウを組織で生かし、引き継ぐことを狙っています

発表に共通する進め方

5件の発表には、分野が違っても共通する点があります。

共通点発表に見られる形
社内の情報を根拠にするマニュアル、電子カルテ、図面、議事録をもとに答えや下書きを作る
人が確かめてから使う根拠の箇所を示す、医療従事者や担当者が確かめて直す
共通の基盤で使い回す府省庁・都の組織・3つの病院で同じ基盤を使う
段階的に広げる試行や実証を経て、本格運用へ進む

社内の文書をもとに答える仕組みはRAGと呼ばれ、精度を上げる工夫はRAGの精度を上げるにはで説明しています。人が確かめた結果をデータとして残し、次の改善やノウハウの引き継ぎに生かす点も、複数の発表に見られます。

自社で始めるときの観点

大きな組織の発表でも、始め方は小さな業務の選び方と変わりません。

  1. 社内に答えや判断の材料がそろっている業務を選ぶ(マニュアル、過去の記録、図面など)
  2. AIの出力を、だれが、どの時点で確かめるかを決める
  3. 試行の期間と、うまくいったと判断する目安を決める
  4. 使い回せる部分(基盤、ルール、評価の仕方)を整えてから、ほかの部署へ広げる

試しで終わらせずに本番へ進める考え方は、AIの試し(PoC)で終わらせないためにをご覧ください。

当社のご支援

アメリア・テクノロジーは、経営の目標から、どの業務にAIを使うかと取り組む順番を決めるところから、社内の資料を使うAIの開発、いまのシステムへのつなぎ込みと運用までお手伝いします。順番の整理はAI・DXコンサルティング、開発の例はAI開発の例をご覧ください。

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この記事を書いた部署

アメリア・テクノロジー 編集部

アメリア・テクノロジーの技術者・コンサルタントが、法律・制度・研究・最新の動向などのテーマについて、公的機関の資料や企業の公式発表などの一次情報を確かめて執筆・編集しています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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