この記事の要点
- AIエージェントは、計画・実行・確認を繰り返し、社内のシステムやツールを使って作業を進めます。
- 向いているのは、手順がおおむね決まっていて、結果を人が確かめやすい作業です。
- 使える権限を絞り、送信・支払い・削除など取り消せない操作の前には人の確認を入れます。
AIエージェントとは
AIエージェントとは、目的を受け取り、手順を自分で考え、検索やシステムの操作などのツールを使って作業を進めるAIです。質問に答えるだけのチャットボットと違い、作業の実行までを受け持ちます。
動き方は、次の繰り返しです。
- 目的を理解する:依頼の内容と、作業の終わりの条件を読み取ります。
- 計画を立てる:必要な作業を順番に分けます。
- 実行する:検索、データベースの照会、メールの下書き、システムへの登録などのツールを使います。
- 結果を確かめる:思った結果でなければ、計画を直してやり直します。
依頼が「来週の出張の手配」なら、移動の候補を調べ、条件に合うものを比べ、予約の案をつくり、予定表に書き込む、といった流れになります。
チャットボットとの違い
違いは、答えを返すところで終わるか、作業を終えるところまで進めるかです。
| 観点 | チャットボット | AIエージェント |
|---|---|---|
| 受け持つ範囲 | 質問への答え | 作業の計画と実行 |
| 使うもの | 主に資料や知識 | 検索、社内のシステム、外部のサービス |
| 人の関わり | 答えを読んで人が動く | 要所で人が確かめ、承認する |
作業まで受け持つ分、誤ったときの影響も大きくなります。AIエージェントの設計では、何をさせるかと同じくらい、何をさせないかを決めることが大切です。
AIエージェントを形づくる部品
AIエージェントは、モデル、指示、ツール、記録の4つの部品でできています。
- モデル:依頼を読み、計画を立て、次の作業を決める生成AIのモデル
- 指示:役割、守る決まり、終わりの条件を書いた文章
- ツール:検索、社内のシステムの照会や登録、ファイルの読み書きなど、AIが使える操作
- 記録:それまでの会話や作業の結果。次の判断に使い、後から確かめるためにも残す
業務に使うときに手間がかかるのは、モデルよりも、ツールの用意と指示の書き方です。どのシステムを、どの権限で使わせるか、どこで人に確認を求めるかを決める作業が、開発の中心になります。
業務での使いどころ
向いているのは、手順がおおむね決まっていて、途中の判断に資料や記録を使い、結果を人が確かめやすい作業です。
- 調べものとまとめ:公開情報や社内の資料を集めて、決まった形の報告にまとめる
- 問い合わせへの対応:資料を参照して答え、必要なときは担当者に引き継ぐ
- 書類の処理:届いた書類を読み取り、項目を抜き出してシステムに登録する
- 計画の案づくり:条件をもとに配車や作業の計画の案をつくり、担当者が承認する
- 開発の支援:プログラムの修正の案をつくり、テストを動かして結果を確かめる
当社のAI開発の例にも、自社の資料を参照して24時間応答し、必要なときは人に引き継ぐ対話型のAIエージェントがあります。
向いていないのは、正解が人によって違う判断や、誤りが許されず人の確認も入れにくい作業です。このような作業では、AIは判断の材料をそろえる役に留め、決めるのは人にします。
使うときの注意点
注意点は、権限、人の確認、記録、費用の4つです。
権限を絞る
AIエージェントに渡す権限は、作業に要る範囲だけにします。読むだけでよいなら書き込みの権限は渡さない、使えるシステムやフォルダを限る、本番とは別の環境で試す、といった分け方です。
AIは、読み込んだ文書やウェブのページに紛れ込ませた指示に従ってしまうことがあります。外部の情報を読む作業ほど、渡す権限を小さくします。
取り消せない操作の前に人が確かめる
メールの送信、支払い、契約、データの削除、外部への公開など、取り消せない操作の前には、人の承認を入れます。はじめは「AIが案をつくり、人が承認して実行する」形から始め、記録を見ながら任せる範囲を広げます。
取り消せない操作の前に、人の承認を入れる
人の承認を入れる操作
はじめはこの形から始め、記録を見ながら任せる範囲を広げます
記録を残す
AIが何を読み、どのツールで何をしたかを記録に残します。誤りが起きたときに原因をたどり、指示や権限を直せるようにするためです。
費用と時間を見積もる
AIエージェントは、1つの依頼の中で何度もモデルを呼び出します。作業によっては費用や時間が見込みを上回るため、試す段階で、呼び出しの回数の上限や予算の通知を決めておきます。
国のガイドラインを参考にする
総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は、2026年3月31日に第1.2版が公表されています。AIエージェントの考え方やリスクの整理も含まれており、社内の決まりをつくるときの参考になります。
始め方
始め方は、対象の作業を1つ選び、人の承認を入れた形で試すことです。
- 手順が決まっていて、量の多い作業を1つ選ぶ
- 使うツールと権限、人が確かめる場面を決める
- 本番とは別の環境で試し、記録を見て直す
- 結果が安定してから、任せる範囲を少しずつ広げる
AIエージェントを動かす基盤の例は、Google Cloud でつくるチャットボットでも紹介しています。
当社のご支援
アメリア・テクノロジーは、どの作業をAIエージェントに任せるかの整理から、権限と確認の手順の設計、社内のシステムとのつなぎ込み、運用までお手伝いします。開発の例はAI開発の例、いまのシステムとの連携と運用はAIインテグレーションをご覧ください。
- AIエージェント
- 生成AI
- 業務の自動化
- AIガバナンス
この記事に出てくる用語
関連する法令・指針(参考情報)
- 指針
総務省・経済産業省「AI事業者ガイドライン」(第1.2版(2026年3月31日))
AIを安全・安心に活用するため、AIの開発・提供・利用に関わる事業者が取り組む事項をまとめた指針です。事業者を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」に分けて示しています。拘束力のない文書で、状況の変化に応じて更新されています。
法令は2026年10月21日時点の内容です。要旨は当社がまとめたもので、条文・判決・指針の全文ではありません。個別の事案への当てはめは、弁護士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。表記の決まりは法令・指針の参考情報と凡例をご覧ください。
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