AI TECHNOLOGY

Google Cloud でつくるチャットボット:構成の考え方

Google Cloud で生成AIのチャットボットをつくるときの構成を、データ・検索・生成・つなぎ込み・運用の5つに分けて説明します。2026年10月時点のサービス名で、どこに何を使うかの考え方を整理します。

この記事の要点

  • チャットボットの答えの質は、モデルよりも、参照させる資料の整え方と検索の仕組みで決まる部分が大きいです。
  • Google Cloud では、2026年4月に Vertex AI が Gemini Enterprise Agent Platform の一部になり、サービス名が変わっています。
  • 公開の前に、答えの確かめ方、人への引き継ぎ、記録と改善の手順を決めておきます。

Google Cloud でつくるチャットボットの全体像

生成AIのチャットボットは、データ・検索・生成・つなぎ込み・運用の5つの部分でできています。Google Cloud には、それぞれに対応するサービスがあり、組み合わせて構成します。

部分役割主なサービス
データ答えの元になる資料を置くCloud Storage、BigQuery
検索質問に合う資料を探すAgent Search、RAG Engine
生成資料をもとに答えの文章をつくるGemini のモデル
つなぎ込み会話の流れをつくり、社内のシステムや窓口とつなぐConversational Agents(Dialogflow CX)、Agent Development Kit
運用記録、監視、権限の管理Cloud Logging、Cloud Monitoring、IAM

資料を検索してから答えをつくるこの仕組みを、RAG(検索拡張生成)と呼びます。RAGとは、質問に関係する資料を先に探し、その内容をもとにAIが答える方法です。社内の問い合わせ対応での使い方は社内の問い合わせ対応をチャットボットにで紹介しています。

RAG(検索拡張生成)の流れと、Google Cloud の主なサービス

検索

質問
関係する資料を先に探す
質問に合う資料
  • Agent Search
  • RAG Engine

生成

見つけた資料の内容
もとに答えの文章をつくる
AIの答え
  • Gemini のモデル

答えの元になる資料は、Cloud Storage や BigQuery に置きます

サービス名の変更(2026年10月時点)

2026年4月22日に、Google Cloud の Vertex AI は Gemini Enterprise Agent Platform の一部になり、多くのサービスの名前が変わりました。以前の資料を参考にするときは、新しい名前に読み替えてください。

  • Vertex AI Search → Agent Search
  • Vertex AI RAG Engine → RAG Engine
  • Vertex AI Agent Engine → Agent Runtime
  • Vertex AI Studio → Agent Studio

会話の流れをつくる Dialogflow CX は、管理の画面が Conversational Agents の画面にまとめられています。

出典:Gemini Enterprise Agent Platform release notes(Google Cloud)
Dialogflow CX documentation(Google Cloud)

データ:答えの元になる資料を整える

答えの質を左右するのは、モデルよりも、参照させる資料の中身と整え方です。古い規程と新しい規程が混ざっていれば、AIは古い方をもとに答えることがあります。

  • 対象の資料を決め、古い版や重複を外す
  • 誰が、いつ資料を更新するかを決める
  • 部署ごとに見せてよい資料が違う場合は、権限の分け方を決める

PDF や Word、ウェブのページ、表のデータなど、資料の形はさまざまです。表や図の多い資料は、正しく読み取れているかを先に確かめておきます。

検索:質問に合う資料を探す

検索の仕組みは、まとめて用意されたサービスを使うか、自分たちで組み立てるかを選びます。

Agent Search は、資料を登録すると検索の仕組みまでをまとめて用意するサービスで、早く形にしたいときに向いています。RAG Engine は、資料の分け方や検索の方法を細かく決めたいときの選択肢です。

どちらを選ぶ場合も、よくある質問とその正しい答えを用意し、検索で正しい資料が見つかるかを先に確かめます。答えが誤るときの原因の多くは、生成の前の検索の段階にあります。

生成:答えの文章をつくる

生成には Gemini のモデルを使うのが基本で、Model Garden からほかのモデルを選ぶこともできます。

答えの指示(プロンプト)では、資料にないことは答えないこと、答えの根拠にした資料を示すこと、分からないときは担当者への問い合わせ方を案内することを決めておきます。モデルは更新が続くため、特定の版に頼らず、入れ替えて比べられる作りにしておくと、後の見直しが楽になります。

つなぎ込み:会話の流れと社内のシステム

つなぎ込みの方法は、どこで、誰が、どこまで使うかで変わります。

会話の流れを決めたい場合

手続きの案内や受付のように、聞く順番や分岐が決まっている会話には、Conversational Agents(Dialogflow CX)が向いています。決まった流れ(フロー)と、生成AIに任せる部分(プレイブック)を組み合わせられ、登録した資料(データストア)を参照して答えることもできます。

社内のシステムと連携したい場合

予約や在庫の確認など、社内のシステムを呼び出して作業を進める場合は、Agent Development Kit(ADK)で組み立て、Agent Runtime で動かす構成があります。ADKとは、Google が公開しているAIエージェントの開発のための枠組みです。作業まで任せるときの注意はAIエージェントとはにまとめています。

ウェブサイト、LINE、Slack、Microsoft Teams などの窓口とは、それぞれの仕組みに合わせてつなぎます。社内向けなら、社員がふだん使っている窓口に置くと使われやすくなります。

運用:記録・改善・引き継ぎを決める

運用で決めておくことは、記録、改善、引き継ぎの3つです。

  • 記録:質問と答え、参照した資料を残し、個人の情報の扱いを決める
  • 改善:答えられなかった質問や誤った答えを定期的に見直し、資料を直す
  • 引き継ぎ:AIが答えられないときに、担当者へつなぐ手順を決める

費用は、使った量に応じて決まるものが多くあります。試す段階で利用量の上限や予算の通知を設定し、利用の見込みに合わせて構成を見直します。権限は IAM で、使う人とサービスごとに必要な範囲だけを渡します。

当社のご支援

アメリア・テクノロジーは、資料の整理から、Google Cloud での構成の設計、社内のシステムや窓口とのつなぎ込み、公開後の改善までお手伝いします。業務に合わせたチャットボットの開発はソリューション提供、いまのシステムとの連携と運用はAIインテグレーション、扱う基盤は使うツール・基盤をご覧ください。

  • Google Cloud
  • チャットボット
  • RAG
  • Gemini

この記事に出てくる用語

この記事を書いた人

石田 誠 フロレンティナ 取締役CTO

インターネットの黎明期から、ホスティング事業の立ち上げや、インフラ・セキュリティのプロジェクトに携わってきました。現在は、AWS・Azure へのクラウド移行の支援と、業務アプリケーションの要件定義から実装までを担っています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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