AI AT WORK

メールの下書き・要約・返信にAIを使う方法と注意点

ビジネスメールの下書き・長いやり取りの要約・返信の作成に生成AIを使う方法を、指示の例とともに紹介します。個人情報や社外秘の情報を入力するときに確かめたい、会社の利用ルールとサービスの設定もあわせて説明します。

この記事の要点

  • 伝えたい要点・相手との関係・トーンを箇条書きで渡すと、生成AIは使える下書きを作ります。
  • 長いやり取りは「決まったこと・決まっていないこと・自分への依頼」に分けて要約させると読みやすくなります。
  • 個人情報や社外秘の情報は、会社の利用ルールと、入力が学習に使われない設定かを確かめてから扱います。

メールの作成は、生成AIを業務で使い始めるのに向いた仕事です。伝えたい要点を渡せば下書きができ、送る前に人が読んで直すという流れが、ふだんの仕事にそのまま収まるためです。

本記事では、新しいメールの下書き、長いやり取りの要約、返信の作成の3つの場面で、生成AIへの頼み方の例を紹介します。あわせて、メールに含まれやすい個人情報や社外秘の情報の扱い方も説明します。指示の書き方の原則は、生成AIへの指示(プロンプト)の書き方の原則にまとめています。

メールにはどんなAIの機能が使えますか

ふだん使っているメールのソフトに組み込まれた機能と、ChatGPT・Gemini・Claude などの対話型の生成AIの2つがあります。

2026年10月時点で、Gmail では Gemini による下書きの作成(Help me write)が、Outlook では Copilot による下書きの作成やスレッドの要約が使えます。メールの画面の中で使えるため、文面を貼り付ける手間がかかりません。どの機能が使えるかは、契約しているプランや会社の管理者の設定によって異なります。

参考:Gemini でメールの下書きを作成する(Gmail ヘルプ)、Copilot in Outlook(Microsoft サポート)

新しいメールの下書きは、どう頼めばよいですか

伝えたい要点、相手との関係、トーンを箇条書きで渡すと、生成AIは整った下書きを作ります。文章を最初から考えるより、要点を並べるほうが早く、抜けも見つけやすくなります。

たとえば、取引のない制作会社にウェブサイトの改修の見積もりを依頼する場合は、次のように頼みます。

  • 目的:コーポレートサイトの改修の見積もりを依頼したい
  • 相手:初めて連絡する制作会社の担当者
  • 含めること:自社の名前と担当者名、改修を考えている理由、参考にしたいサイトのURL、〇月〇日までに返事がほしいこと
  • トーン:丁寧に、ただし長くしない

返ってきた下書きでは、依頼の内容と期日が明確か、相手に失礼な言い回しがないかを確かめます。生成AIは、頼んでいない「貴社の優れた実績を拝見し」のような定型の一文を足すことがあります。実際に見ていないことを書いていないかも確かめます。

長いやり取りは、どう要約させればよいですか

何を知りたいかを決めて要約させると、読み返す手間が減ります。「要約して」だけでは、やり取りの順に縮めた文章になりがちです。

たとえば、何人もが返信を重ねたスレッドなら、次のように頼みます。

  • このやり取りを、決まったこと・まだ決まっていないこと・私(営業部の担当者)に求められていることの3つに分けて、箇条書きでまとめてください
  • 期日や金額が出てくる場合は、どのメールに書かれていたかも示してください

要約は、元のメールを読まずに済ませるためではなく、どこを読めばよいかを知るために使います。期日・金額・約束の内容は、要約だけで判断せず、元のメールで確かめます。

返信を書かせるときのこつは何ですか

結論と理由を先に決めて渡すことです。断る・保留する・条件をつけて受けるといった判断は人が行い、生成AIには言い回しを任せます。

たとえば、営業の提案を見送るときは次のように頼みます。

  • 状況:先方から新しいサービスの提案を受けた
  • 結論:今回は見送る
  • 理由:いまの業務の体制では使う場面が少ないため(詳しい事情は書かない)
  • 添えること:提案へのお礼、今後また相談するかもしれないこと
  • トーン:丁寧に、ただし期待を持たせすぎない

文章の校正にも使えます。自分で書いた文面を渡して「意味を変えずに短くしてください」「取引先の役員に送る前提で、敬語の誤りを直してください」と頼む方法です。英文のメールを確かめるときも、直した箇所とその理由を挙げてもらうと、意図しない言い換えに気づけます。

個人情報や社外秘の情報は、入力してよいですか

会社の利用ルールで認められた範囲で、認められたサービスにだけ入力します。メールには、取引先の担当者の名前や連絡先、契約の条件、社内の人事の話など、外に出してはいけない情報が多く含まれるためです。

確かめておきたい点は次のとおりです。

  • 会社が利用を認めた生成AIのサービスか、個人で契約したサービスか
  • 入力した内容が、サービスの提供者のAIの学習に使われない設定や契約になっているか
  • 入力してよい情報の範囲(個人情報、取引先の情報、社外秘の資料)が、社内で決まっているか

個人情報保護委員会は、生成AIのサービスに個人データを含む指示を入力する場合、利用目的の範囲内であるかを確かめることや、入力したデータがサービスの提供者の機械学習に使われないことを十分に確かめることを、事業者向けの注意点として示しています。

出典:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会)

社内の決まりがまだない場合は、利用を認めるサービスと入力してよい情報の範囲を、先に決めておきます。迷う情報は、名前を「A社」「担当者」のように置き換えて入力し、下書きができた後に自分で戻す方法もあります。

迷う情報を置き換えて入力する方法

  • 置き換える名前を「A社」「担当者」のように置き換えます
  • 入力する置き換えた文面で、下書きを作らせます
  • 戻す下書きができた後に、自分で戻します

社内の決まりがまだない場合は、利用を認めるサービスと入力してよい情報の範囲を先に決めておきます

送る前に、何を確かめればよいですか

宛先、日付と曜日、金額、添付の有無、約束していないことを書いていないか、の5点を確かめます。生成AIは、もっともらしい日付や約束の一文を作ることがあるため、送る前の確認は人が行います。

メールの作成を生成AIに任せると、文章を考える時間は減りますが、確かめる責任は送る人に残ります。下書きを作るのは生成AI、内容を決めて送るのは人、という分け方で使うのが安全です。

当社のご支援

当社は、社内で生成AIを使い始めるときの利用ルールづくりや、部署ごとの使い方の相談に応じています。月20時間からの時間契約で専門家に相談できるAIタイムシェアをご用意しています。メールや問い合わせの対応をいまの業務システムとつなげて効率化したい場合は、AIインテグレーションのページもご覧ください。

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この記事に出てくる用語

この記事を書いた人

桐谷 彰人 取締役COO

システムエンジニアとして、ビジネスモデルの策定から要件定義、開発、コードレビューまでを担当してきました。運送管理、飲食業向けのDX、ECサイトなど、さまざまな業界のシステム開発に携わっています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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