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ITデューデリジェンスでは何を見るのか

ITデューデリジェンスは、買収の前に対象の会社のシステムを調べ、事業を続けるうえでのリスクと、買収の後にかかる費用を見積もる調査です。システム構成、契約とライセンス、セキュリティ、技術的負債、人材と体制、統合の費用の6つの観点を説明します。

この記事の要点

  • ITデューデリジェンスの目的は、システムの良し悪しの採点ではなく、リスクと費用の見積もり
  • 6つの観点を、案件の目的と規模に合わせた深さで確かめる
  • 調査で分かったことは、買収の条件と、その後の統合の計画の両方に使う

ITデューデリジェンスでは、システム構成、契約とライセンス、セキュリティ、技術的負債、人材と体制、統合の費用の6つの観点から、対象の会社のシステムを調べます。目的は、システムの出来を採点することではなく、事業を続けるうえでのリスクと、買収の後にかかる費用を見積もり、判断の材料にすることです。

ITデューデリジェンスとは

ITデューデリジェンスとは、M&Aの検討の段階で、対象の会社の情報システムを調べる調査のことです。財務や法務の調査と並んで行われ、結果は買収の条件や、買収の後の統合の計画に使われます。

調べる深さは、案件の目的と規模で変わります。システムが事業の中心にある会社や、買収の後にシステムを統合する予定がある場合は、深く調べます。システムへの依存が小さい会社では、要点に絞った確認で足りることもあります。

調べる深さは、案件の目的と規模で変わる

  • システムが事業の中心深く調べます
  • 買収の後に統合する予定深く調べます
  • システムへの依存が小さい要点に絞った確認で足りることもあります

6つの観点

主に確かめることを表にまとめます。

観点主に確かめること
システム構成どんなシステムがあり、どうつながり、どこで動いているか
契約とライセンス契約の名義と期間、ライセンスの数、権利の帰属
セキュリティアカウントと権限の管理、過去の事故、守りの仕組み
技術的負債古い作り、記録のない改修、更新の止まった部品
人材と体制だれが運用し、だれに頼っているか
統合の費用買収の後に要る改修、移行、追加の契約の費用

システム構成

基幹システム、会計、販売管理、顧客管理、Webサイト、社内のツールなどを洗い出し、データのつながりを図にします。自社のサーバーで動いているか、クラウドかも確かめます。構成の図や一覧がない会社も多いため、聞き取りで補います。

契約とライセンス

サービスやソフトの契約が会社の名義になっているか、期間と更新の条件、会社の支配権が変わるときの扱いを確かめます。自社で開発したソフトは、著作権が開発を頼んだ会社に残っていないかを見ます。組み込んでいるオープンソースソフトウェアのライセンスの条件も確認の対象です。契約の解釈にかかわる点は、法務の調査や弁護士などの専門家と分担します。

セキュリティ

管理者のアカウントの扱い、退職者のアカウントの削除、多要素認証の使い方、バックアップ、更新の状況、過去の情報漏えいや不正アクセスの有無を確かめます。個人情報を多く扱う会社では、委託先の管理や、社外とのデータの受け渡しの方法も見ます。

技術的負債

技術的負債とは、その場しのぎの作りや古い技術が残り、後の改修や運用の手間が増えている状態のことです。提供が終わった製品、更新の止まったプログラムの部品、仕様書のない改修の積み重ねなどが当たります。すぐに問題が起きていなくても、買収の後の改修の費用として見込んでおきます。

人材と体制

システムの運用を、社内のだれが、どの範囲で担っているかを確かめます。1人の担当者や、特定の外部の会社に頼りきっている場合は、その人が離れたときや契約が終わったときの影響を見積もります。担当者との面談は、資料だけでは分からない運用の実態をつかむうえで欠かせません。

統合の費用

上の5つの観点で見つかった点をもとに、買収の後に要る費用を見積もります。セキュリティの手当て、契約の切り替え、古いシステムの更新、グループの仕組みへのつなぎ込みなどです。費用の見積もりは、買収の価格や条件の交渉の材料になります。

AIの使い方も確かめる

生成AIのサービスを業務で使っている会社では、AIの使い方も確かめる対象に加えます。

社員がどのサービスを、どの契約で使っているか、顧客の情報や社外秘の情報を入力していないか、社内の利用ルールがあるかを確かめます。AIを組み込んだ自社のサービスを提供している場合は、使っているモデルの利用条件や、学習に使ったデータの権利の扱いも見ます。AIの使い方は、情報の扱いのリスクと、買収の後にそろえるべきルールの両方にかかわります。

調査の進め方

調査は、資料の依頼、質問票への回答、担当者への聞き取り、報告の順に進めるのが一般的です。

  1. 調査の目的と範囲を、買収の目的に合わせて決める
  2. システムの一覧、構成の図、契約書、セキュリティの規程などの資料を依頼する
  3. 質問票を送り、回答を受け取る
  4. システムの担当者や経営者に聞き取りを行う
  5. リスクの大きさと、対応にかかる費用の見込みをまとめて報告する

秘密保持の契約を結んだうえで進めますが、検討の初期は、譲渡の話を知っている人が社内でも限られます。聞き取りの相手と時期は、譲渡側と相談して決めます。

調査の結果を、統合の計画につなげる

調査で分かったことは、買収の判断に使うだけでなく、買収の後の統合の計画の材料になります。どのシステムを残し、どれを寄せ、どれを新しくするかの検討は、買収の後のシステム統合(PMI)をどう進めるかで扱っています。

譲渡を考えている側の準備については、M&Aの前に整えておきたい、データとシステムのことをご覧ください。

当社のご支援

アメリア・テクノロジーは、M&Aアドバイザリーのフロレンティナと連携し、譲渡の前の磨き上げから、譲受の後の統合まで、システムとAIの面からお手伝いします。システムの状態の整理や、統合の見通しの検討についても、ご相談を承ります。詳しくはフロレンティナとの連携をご覧ください。

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この記事に出てくる用語

この記事を書いた人

石田 誠 フロレンティナ 取締役CTO

インターネットの黎明期から、ホスティング事業の立ち上げや、インフラ・セキュリティのプロジェクトに携わってきました。現在は、AWS・Azure へのクラウド移行の支援と、業務アプリケーションの要件定義から実装までを担っています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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