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クラウド(AWS・Azure・Google Cloud)の選び方

AWS・Microsoft Azure・Google Cloudのどれを選ぶかは、優劣ではなく、社内の既存の環境、使いたい機能、費用の見積もり、運用の体制、データの置き場所の5つの観点で決めます。比べ方と、決める前の確かめ方を説明します。

この記事の要点

  • 3つのクラウドは基本的な機能がそろっており、違いは自社の環境や使いたい機能との相性に表れます
  • 費用は、使う量の見込みから見積もり、データの転送やサポートの費用、運用の手間も含めて比べます
  • 運用する人が慣れているか、データをどの国・地域に置くかも、選ぶときの決め手になります

AWS・Microsoft Azure・Google Cloud のどれを選ぶかは、どれが優れているかではなく、自社の条件に合うかどうかで決めます。比べるときは、社内の既存の環境、使いたい機能、費用の見積もり、運用の体制、データの置き場所の5つの観点で整理すると、判断の理由を説明しやすくなります。

3つのクラウドは、いずれもサーバー、データベース、ファイルの保管、ネットワーク、AIの基盤など、システムに要る基本の機能を一通り提供しています。そのため、機能の一覧を並べて比べるだけでは差が見えにくく、自社の事情に照らして比べることが大切です。

3つのクラウドの位置づけ

クラウドとは、サーバーなどの計算の資源を自社で持たず、インターネット経由で必要な分だけ借りて使う形のことです。代表的な事業者として、Amazon の AWS(Amazon Web Services)、Microsoft の Microsoft Azure、Google の Google Cloud があります。

3社とも、2026年10月時点で、東京と大阪にリージョン(データセンターを置く地域の単位)を設けています。国内にデータを置きたい場合も、3社のどれでも選べます。

出典:AWS service endpoints(AWS)
List of Azure regions(Microsoft)
Bucket locations(Google Cloud)

選ぶときの5つの観点

5つの観点ごとに、確かめることを書き出して比べます。

観点確かめること
社内の既存の環境すでに使っているサービス、社員のアカウントの管理の仕組み、いまのサーバーの種類
使いたい機能AIの基盤やデータ分析など、使いたい機能が、使いたい地域で提供されているか
費用の見積もり使う量からの見積もり、データの転送の費用、サポートの契約、割引の条件
運用の体制社内や委託先に、そのクラウドの設定と運用に慣れた人がいるか
データの置き場所どの国・地域に置くか、取引先との契約や業界の決まりとの関係

社内の既存の環境

すでに使っているサービスとの相性を確かめます。たとえば、社員のアカウントを Microsoft 365 や Google Workspace で管理している場合、同じ事業者のクラウドを選ぶと、ログインや権限の管理をまとめやすい場面があります。いまのサーバーで動いているソフトウェアが、どのクラウドで動かしやすいかも確かめる点です。

ただし、既存の環境との相性だけで決める必要はありません。アカウントの管理は、ほかのクラウドとも連携できることが多く、使いたい機能や運用の体制と合わせて判断します。

使いたい機能

AIを組み込む場合は、各社のAIの基盤で、使いたいモデルが使えるかを確かめます。2026年10月時点の主な基盤は、AWS の Amazon Bedrock、Microsoft の Microsoft Foundry、Google Cloud の Gemini Enterprise Agent Platform(旧 Vertex AI)です。使えるモデルや機能は、地域によって違い、時期によっても変わるため、使いたい地域での提供の状況を、各社の資料で確かめます。

費用の見積もり

費用は、使う量の見込みを立てて、各社が公開している料金の計算の仕組みで見積もります。比べるときは、次の点を落とさないようにします。

  • サーバーやデータベースの利用料(時間や量に応じた従量の料金)
  • クラウドの外へデータを送るときの転送の費用
  • ログやバックアップの保存の費用
  • サポートの契約の費用
  • 長期の利用を約束したときの割引の条件

クラウドの費用は、使い方しだいで増えも減りもします。予算の上限に近づいたら知らせる設定や、使っていない資源の定期的な見直しも、選ぶ段階で運用の手順に入れておきます。

運用の体制

設定と運用に慣れた人がいるかは、選んだ後の安全と費用を左右します。クラウドでの事故には、設定の誤りが原因になるものがあり、慣れない環境では誤りが起きやすくなります。社内の担当者や委託先が、どのクラウドの経験を持っているかを確かめ、足りなければ学ぶ時間や外部の支えを計画に入れます。

データの置き場所

データをどの国・地域に置くかを、取引先との契約、業界のガイドライン、社内の規程と照らして決めます。災害への備えとして、東京と大阪など、離れた地域にバックアップを置く設計もあわせて考えます。個人の情報を扱う場合は、保存の場所と、事業者がデータをどう扱うかを、契約と利用規約で確かめます。

複数のクラウドを使う選択

用途ごとに複数のクラウドを使い分けるマルチクラウドという形もあります。特定の事業者に頼りすぎない、用途ごとに向いた機能を使える、といった利点がある一方で、運用の手間と、担当者に求められる知識が増えます。

はじめから複数を使う前提にせず、1つを中心に置き、はっきりした理由があるところだけ別のクラウドを使う形のほうが、運用を続けやすくなります。

決める前に試す

観点を書き出したら、候補のクラウドで小さく試してから決めます。

  1. 5つの観点で、自社の条件を書き出す
  2. 候補のクラウドで、使いたい機能を小さく試す
  3. 使う量の見込みから、費用を見積もって比べる
  4. 運用の担当と手順、事故のときの連絡の流れを決める
  5. いまのシステムから移す場合は、移す順番と方法を決める

いまのシステムを移す場合の考え方は、古くなったシステムを刷新する(モダナイゼーション)の進め方をご覧ください。移した後の安全の対策は、Webシステムのセキュリティ対策の基本にまとめています。

当社のご支援

当社は、特定のクラウドに限らず、課題と社内の環境に合わせて、AWS・Microsoft Azure・Google Cloud などから組み合わせを選びます。扱うツールと基盤は使うツール・基盤に載せています。どのクラウドで何を動かすかの整理はAI・DXコンサルティング、構築といまのシステムとのつなぎ込み、運用はAIインテグレーションでお手伝いします。

  • クラウド
  • AWS
  • Microsoft Azure
  • Google Cloud

この記事に出てくる用語

この記事を書いた人

石田 誠 フロレンティナ 取締役CTO

インターネットの黎明期から、ホスティング事業の立ち上げや、インフラ・セキュリティのプロジェクトに携わってきました。現在は、AWS・Azure へのクラウド移行の支援と、業務アプリケーションの要件定義から実装までを担っています。

このコラムは一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の状況への助言ではありません。製品・サービスの名前と内容は、記事の更新日の時点のものです。

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