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「プロンプトエンジニアリング」入門。AIを自在に操るための対話術

  • 執筆者の写真: ameliatechnology
    ameliatechnology
  • 8月20日
  • 読了時間: 4分

ChatGPTなどの生成AIに何かをお願いしたとき、「なんだか期待外れの答えが返ってきた…」「もっと気の利いたことを言ってほしいのに…」と感じた経験はありませんか?

多くの場合、それはAIの性能が低いからではありません。原因は、私たちの「質問の仕方」にあります。

AIから驚くほど質の高いアウトプットを引き出す技術、それが「プロンプトエンジニアリング」です。難しそうに聞こえますが、本質はとてもシンプル。これは、AIを「極めて優秀で素直な、新入社員やアシスタント」だと考え、彼らと円滑に仕事を進めるための「対話術」なのです。

この記事では、明日からすぐに使えるプロンプトエンジニアリングの基本をご紹介します。


大前提:AIは「察してくれない」


まず、最も重要な心構えは、「AIは文脈や背景を察してはくれない」ということです。

優秀な人間のアシスタントなら、「これ、いい感じにまとめといて」で意図を汲み取ってくれるかもしれません。しかしAIは、指示が曖昧だと、曖昧な答えしか返せません。

ダメなプロンプトの例:

マーケティングのアイデアを教えて。

これでは、どんな業界の、どんな製品の、誰に向けたアイデアが欲しいのか全く伝わりません。AIも困ってしまい、当たり障りのない一般的な答えしか出せなくなります。


良い結果を引き出す「5つの構成要素」


では、どうすれば良いのでしょうか? 優れたプロンプトは、多くの場合、以下の5つの要素で構成されています。すべてを毎回含める必要はありませんが、意識するだけでAIの応答は劇的に変わります。


1.【役割】を与える (Role)

AIに特定の専門家になりきってもらいましょう。これにより、回答の視点やトーンが定まります。

あなたは、経験豊富なWebマーケターです。あなたは、プロのコピーライターです。

2.【目的】を明確にする (Objective)

AIに何をしてほしいのか、最終的なゴールをはっきりと伝えます。

以下の文章を要約してください。新商品のキャッチコピーを3つ提案してください。

3.【文脈】を共有する (Context)

最も重要な要素です。あなたが置かれている状況、背景情報、関連する情報をできるだけ具体的に提供します。

当社は20代女性向けのスキンケアブランドです。新商品として、保湿力に特化した美容液を発売します。ターゲット層は、SNSでの情報収集に積極的です。

4.【制約条件】を指定する (Constraints)

アウトプットの形式やスタイル、文字数などを具体的に指定します。これにより、手直しの手間が大幅に減ります。

箇条書きで出力してください。 300字以内でまとめてください。 親しみやすいトーンで書いてください。 表形式で出力してください。

5.【参考例】を見せる (Example)

もし理想のアウトプットのイメージがあれば、例として見せてあげるのが最も効果的です。

(例)「まるで、うるおいのヴェール。」のような、詩的なキャッチコピーを考えてください。

実践!5つの要素を組み合わせる


それでは、これらの要素を組み合わせて、実際にメール作成をAIにお願いしてみましょう。

▶︎ 悪いプロンプト

イベント中止のメールを書いて。

▶︎ 良いプロンプト

【役割】 あなたは、IT企業のイベント運営担当者です。 【目的】 8月28日に予定していた「AI活用セミナー」の開催を、台風の接近により中止する旨を申込者に伝えるための告知メールを作成してください。 【文脈】 ・セミナーはオンラインでの開催を予定していました。 ・中止の理由は、台風の影響による大規模な停電の可能性があり、安定した配信が困難と判断したためです。 ・振替日程は現在調整中で、決まり次第改めて連絡することを伝えてください。 【制約条件】 ・件名は「【重要】8/28 AI活用セミナー開催中止のお知らせ」としてください。 ・丁寧かつ誠実なトーンで記述してください。

このプロンプトを使えば、AIは受信者が知りたい情報を網羅した、ほぼ完璧なメール文面を数秒で作成してくれるでしょう。


まとめ:AIとの対話を楽しもう


プロンプトエンジニアリングとは、コーディングのような専門技術ではありません。相手(AI)に敬意を払い、どうすれば気持ちよく働いてもらえるかを考える、コミュニケーション術そのものです。

「役割を与え、目的を伝え、背景を共有し、条件を定める」

この基本を意識するだけで、AIはあなたの期待をはるかに超えるパフォーマンスを発揮してくれる、最強のパートナーになります。

最初は難しく考えず、いろいろな聞き方を試してみてください。AIとの対話(プロンプト)を重ねるほど、あなただけの「AIを自在に操る対話術」が身についていくはずです。

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