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「機械学習」「ディープラーニング」の違い、説明できますか?

  • 執筆者の写真: ameliatechnology
    ameliatechnology
  • 7 日前
  • 読了時間: 4分

AI(人工知能)のニュースを見ていると、当たり前のように出てくる「機械学習」と「ディープラーニング」という言葉。なんとなく「AI関連のすごい技術なんだろうな」と思ってはいるものの、その違いをはっきりと説明できる方は意外と少ないかもしれません。

この2つの言葉は、しばしば混同されがちですが、その関係性と意味を理解すると、最新のAIニュースがぐっと面白くなります。

結論から言うと、両者の関係は「親子」のような入れ子構造になっています。

AI ⊃ 機械学習 ⊃ ディープラーニング

まず「AI」という最も大きな枠組みがあり、その中にAIを実現するための一つの手法である「機械学習」が含まれます。そして、「ディープラーニング」は、その機械学習をさらに発展させた、特定の手法を指すのです。

この記事では、それぞれの役割と決定的な違いを、身近な例えで分かりやすく解説します。


機械学習(マシンラーニング)とは? ― ルールを学ぶ「勤勉な生徒」


機械学習をひと言で表すなら、「コンピューターが、大量のデータから『ルール』や『パターン』を自動で学習する技術」です。

従来のコンピュータープログラムでは、人間が「もしAならばBせよ」というルールを一つひとつ細かくプログラミングする必要がありました。

それに対して機械学習では、人間が「判断のポイント(特徴量)」を教え、あとは大量のデータを見せることで、コンピューター自身にルールを発見させます。

身近な例:迷惑メールフィルター

  1. 人間が「判断のポイント」を教える:

    まず、人間が「どんなメールが迷惑メールになりやすいか」という判断のポイント(特徴量)を考え、コンピューターに教えます。「『未納料金』という単語が含まれているか」「送信元アドレスが知らないものか」「派手な装飾が多いか」といった点です。

  2. コンピューターがデータを学習する:

    次に、過去の膨大なメールの中から、「これは迷惑メール」「これは普通のメール」と正解ラベルを付けたものをコンピューターに読み込ませます。

  3. コンピューターがルールを発見する:

    コンピューターは、教えられた判断のポイントを頼りに、迷惑メールに共通するパターン(例:「『未納料金』という単語があり、知らないアドレスから来ているメールは、95%の確率で迷惑メールだ」)を自ら学習します。

このように、人間が「着目すべきポイント」を教え、そのルールを機械に学ばせるのが、機械学習の基本的な考え方です。


ディープラーニングとは? ― 直感的に本質を見抜く「天才」


ディープラーニングは、機械学習の一種であり、その中でも特に人間の脳の神経回路(ニューラルネットワーク)の仕組みを模倣した、より高度な学習方法です。

機械学習との決定的な違いは、人間が「判断のポイント(特徴量)」を教える必要がない点にあります。ディープラーニングは、与えられたデータの中から、どのポイントが重要なのかをAI自身が自動で見つけ出すのです。

身近な例:写真から「猫」を認識するAI

  1. 人間が大量のデータを与えるだけ:

    人間がすることは、AIに「これは猫」「これも猫」「これは猫じゃない」とラベル付けされた、何十万枚もの画像をひたすら見せるだけです。「猫の耳は三角」「ひげがある」といった判断のポイントは一切教えません。

  2. AIが自動で「判断のポイント」を発見する:

    AI(ニューラルネットワーク)は、画像データを非常に細かい階層に分けて分析します。

    • 浅い層:「明るい部分」「暗い部分」「線のエッジ」といった単純な特徴を捉える。

    • 中間の層:浅い層で得た情報を組み合わせ、「三角の形」「丸い目」「細長いひげ」といった、より具体的な部品を認識する。

    • 深い層:中間の層の部品をさらに組み合わせ、「三角の耳と、丸い目と、ひげを持つ生き物は『猫』である」という、非常に高度なパターンを自ら学習します。

このように、ディープラーニングは、人間が明示的に教えなくても、データの本質的な特徴を直感的に、そして自動的に見抜くことができるのです。


一目でわかる比較表


項目

機械学習 (Machine Learning)

ディープラーニング (Deep Learning)

位置づけ

AIを実現するための一手法

機械学習の中の、さらに高度な一手法

最大の違い

人間が判断のポイント(特徴量)を教える

AIが自動で判断のポイントを発見する

得意なこと

需要予測、顧客分類など、構造化されたデータの分析

画像認識、音声認識、自然言語処理など、複雑で非構造的なデータの分析

具体例

迷惑メールフィルター、ECサイトの推薦機能、株価予測

スマホの顔認証、自動翻訳、自動運転、ChatGPT


まとめ


「機械学習」と「ディープラーニング」の最大の違いは、「学習の手がかりとなる判断のポイントを、人間が与えるか、AIが自ら見つけ出すか」という点にあります。

近年のAI技術の目覚ましい発展、特にChatGPTや画像生成AIの登場は、このディープラーニングの進化によってもたらされました。人間が教えるのが難しい「言葉のニュアンス」や「絵のスタイル」といった複雑なパターンの本質を、AIが自ら学び取れるようになったからです。

この違いが分かれば、AIのニュースに触れたとき、その技術がどれほど画期的なのかを、より深く理解できるはずです。

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